今回は、発達障害の方を注意する前に考えてもらいたいことを書いていこうと思います。

例えば、あなたが教師だとして、授業中に生徒が離席したら、どうしますか?

ほとんどの方が注意すると思います。理由は簡単、授業中に立ってはいけないから。


では、今まで席について授業を受けたことのない(ずっと立って受けていた)Aさんがいたとして、その日はなぜか座っていて、授業の後半に離席したとします。あなたは注意しますか?


私であれば、注意ではなく「よく今まで座って授業が受けられたね」と褒めます。
もちろん、最後だけでなく、座れている間は定期的に「今日は座れているね」「すごいね」と話しかけると思います。これは極端な例ですが、その時点での行動のみを切り取って評価すると、評価基準は一般常識や周りの人たちとの比較になります。


だから、最初の例では注意することになります。ですが、評価基準をその人の「これまで」にすると、例のように褒めることができます。発達障害や知的障害のある方の支援をする場合には、後者の考え方が基本となります。周りの人と比較し評価していたら、ほとんどの場面で注意しなければなりません。その人の「これまで」を十分理解し「今を認める」こと、これがとても重要です。


これは私の主観ですが、怒られたり注意されたりして成長する人はごく一部の人で、多くの人は褒められて伸びると思います。私自身もそうです。


ここで誤解のないように話しておきますが、注意や怒ることが不必要だとは考えていません。必要な場面はあります。支援においても、注意や怒ることも大事な支援スキルの1つだと思います。しかし、彼らの多くは周りと比較され、あれが出来ない、これが出来ないと怒られたり注意されてきました。怒られたり注意されて出来るなら、すでに出来ているはずです。そうではないのなら、やり方を変えなければなりません。


今を認めて、じっくり待ち、少しのプラスの変化を評価・賞賛し、行動を強化していきます。その小さな積み重ねの先に、本人の出来ることが増えたり、生活の質の向上があります。まずは、周りと比較することをやめ、本人の「今を認める」ことからはじめてみてください。